経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

京浜急行電鉄(9006)企業分析②

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さて、前回の続きです。
(前回行いました京急の分析はこちらになります)

www.con-invester.com

セグメント別業績

もう一度京急の事業構成について見ておきましょう。

売上ベースと利益ベースそれぞれで見ると、京急が目指すべき方向が何となく見えてきます。

セグメント詳細:
鉄道やバスなどを展開する「交通事業」
百貨店やショッピングセンターを展開する「流通事業」
建設やビル管理、情報通信を展開する「その他」
不動産売買・賃貸を展開する「不動産事業」
旅行代理店やホテル、水族園などを展開する「レジャー・サービス事業」

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まず売上・利益共に最大セグメントである「交通事業」ですが、この事業は沿線の利用者数で全てが決まる事業です。
人口が減り続けるここ日本で、沿線住民を増やしていくことは民間企業一社でどうこうできる問題ではありません。
(羽田空港に繋がる路線を持ってしても、直近5年の交通事業の売上高CAGRはわずか1.7%というレベルです)
なので、(a)一日平均乗降人員258万人という顧客接点を活用し、何か新しいビジネスを展開していくというのが一つの大きな方向性と考えられます。

ご覧の通り、売上ベースで2番目の大きさである「流通事業」はその薄利モデルから、拡大したところで全社への収益貢献は限定的。

となると、(b)「不動産事業」「レジャー・サービス事業」の両事業について、増え続ける訪日観光客と絡ませながら成長させるというのがもう一つのモデルでしょう。

戦略志向

(a)一日平均乗降人員258万人という顧客接点を活用し、何か新しいビジネスを展開していく

これが前回の冒頭で記載したアクセラレーションプログラムの話です。

www.keikyu.co.jp

京急目線で言えば、自社が持つ強力なアセットをベンチャーのポテンシャルを活用してレバレッジしたい、ベンチャー目線で言えば京急の持つ「258万人の乗降人員」「羽田空港へ/からのアクセス」を活用して事業を拡大したいという想いがあるわけです。

また、僕自身が大手企業に対してコンサルティングサービスを提供している実感からすると、大手企業が主体となって革新的な事業を生み出していくというのは非常に難しい。

それは大手企業の人がダメとかではなく、そういう組織制度や力学が存在しているという話です。

Voicyで聞いた感じでは、事業を共同で刹那的に立ち上げるという目的ではなく、京急の資本やアセットを活用しながらベンチャーを育てるという感じでしたので、非常にポジティブです。

ちなみにお堅そうな会社がこうしたアクセラレーションプログラムで新規事業を生み出した例で言うと、静岡ガスなんかがありますね。

www.nikkei.com

静岡ガスが駐車場シェアマッチングプラットフォームを運営し、自社の顧客に対して空き駐車場の登録を促すというものです。

なんて、なんて微妙なんでしょう。
京急はこんなしょっぱい感じにならないことを祈っています。

(b)「不動産事業」「レジャー・サービス事業」の両事業について、増え続ける訪日観光客と絡ませながら成長させる

上記のアクセラレーションプログラムは息の長い投資ですが、即効性があるのはやはり「不動産事業」「レジャー・サービス事業」でしょう。

特に、今来ていると言われている品川へのアクセスを持っているのは強い。
都内に数店舗飲食店を経営している知人の話曰く、
「今は東京や銀座の店舗よりも品川が圧倒的な売上。特に訪日観光客が毎月増えている」とのことでした。

ちなみに京急は品川駅周辺に約6万㎡の土地を所有しているようです。
(東京ドーム1.3個分らしいです)

ここを再開発を進めてじゃんじゃんお金を落として貰うような街にしていこうじゃないかと。

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まぁ目玉のエリアは各社あるものなので、あとはそこをどう魅力的に演出していくかです。
その辺は前述の飲食経営の知人含め、不動産会社に勤める友人、不動産投資家なども品川が特にアツいと言っているので、京急にとってはポジティブな方向なんじゃないかなと。

と、少し文字数が多くなってしまったので、株価の予測についてはまた次回やりたいと思います。