先日、記事に書いたように、株式投資資金の一部を新規領域に投じるという文脈で、今回はクラウドワークスの企業分析を行いたいと思います。
企業概要
クラウドワークスは2014年12月にマザーズに上場し、現在(2017年9月4日時点)の時価総額は133億円です。
クラウドワークスは、総合型クラウドソーシングサイトを運営しており、オンライン上で、ワーカーと仕事発注者のマッチングサービスを提供しています。
そもそもクラウドソーシングとは?
クラウドワークスの分析を進める前に、少しクラウドソーシングについて補足しておきたいと思います。
クラウドソーシングとは、Crowd(群衆)+Sourcing(外注)する、という意味の造語です。
これまでは「アウトソーシング」という形で、"特定"の企業・個人に対して外注をしていた仕事を"不特定多数"の個人に対して外注するというものです。
フリーランサーやノマドワーカーなどの台頭からも分かる通り、時代は集団から個人へと動いています。
その流れに乗って事業を展開するのが、クラウドソーシングのマッチングプラットフォームを展開するプレーヤー群なのです。
このクラウドソーシングの国内市場規模は物凄い勢いで成長しており、2018年には1,820億円の市場規模になると予測されています。
この成長性が、今回クラウドワークスを分析対象とした一つ目の理由です。
業績
次に業績です。
ここは今回分析にするにあたり、ベンチャー界隈の知人にヒアリングしたのですが、少し面白い話を聞けたので、その辺を交えながら分析したいと思います。
売上は順調に拡大、そして営業利益は"順調に"赤字を垂れ流しています。
ここで順調と言っているのは、今のクラウドワークスにとって赤字であることが望ましいと考えられるからです。
まず、日本においてはクラウドソーシングプラットフォームの大手としては、クラウドワークスの他にランサーズがいます。
ですが、ランサーズは現在上場していません。そして、短期的には上場するのは難しいのではないかというのが前述のベンチャー界隈の知人の話です。
なぜなら、先に上場したクラウドワークスが赤字を垂れ流しており、夢を膨らませた投資家の鼻をへし折ってしまったからです。
実際に、クラウドワークスの株価は上場後1-2ヶ月で高値を付けた後は停滞したままです。
こうやって「競合よりも早く上場」し、「赤字を垂れ流す」ことで投資の夢をへし折り、「競合の上場ハードルを上げる」わけです。
で、ここでの赤字はただの垂れ流しではなく、将来的な競争優位性を築くための投資なわけです。
上場により得た資金と資金調達力は、競合であるランサーズは上場するか大企業の傘下に入らない限り敵いません。
どうやらこれがベンチャーのメカニズムのようです。
このメカニズムを上手く活用していることが、今回クラウドワークスを分析対象としたもう一つの理由です。
次回はクラウドワークスの戦略についてもう少し深堀していきたいと思います。