経営コンサルの割安株分析

現役経営コンサルタントが中長期保有を前提に中小型株を中心に分析。自身の専門性や調査・分析範囲(能力)に限界がある中で、様々なバックグラウンドを持つ方々との意見交換を行うことで、割安株への投資を実現することが目的です。

ツカモトコーポレーション(8025)企業分析②

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さて、前回の続きです。

(前回行いましたツカモトの分析はこちらになります)

 

con-invester.hatenablog.com

 

主要事業の見通し

中計では、「コア事業の確立」「不採算事業の再建」「新規事業領域の確立」を掲げています。具体的にどの事業がコアで不採算なのかというのがはっきり明示されていないので、セグメント別に見ていきたいと思います。

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洋装事業

まず洋装事業については売上高こそ横ばいですが、ROSは減少傾向にあります。

アパレルはユニクロやしまむらのようなSPAモデルか、ハイブランドしか生き残れない時代です。

既存の控え目に言っても一流ではないブランドでは成長を牽引することは難しいでしょう。

また、ユニフォーム(仕事着)に付加価値を求めるユーザーはほぼ皆無と言って良く、コスト競争の権化のような事業なので、今後も単価下落圧力に晒されることが予測されます。

 

和装事業

次に和装事業ですが、市場は長年縮小傾向にあります。

元々の複雑な流通構造で効率化が難しいことに加え、近年ではタブーとされていた和装のレンタルも普及してきたことが傷口に塩を塗る形になっています。

とは言え、和装は日本文化であり、市場がなくなることはないと想定されるため、ツカモトが業界再編を主導し、競合を買収していくという展開になれば、残存者利益を享受するというシナリオもありますが、あまり高い確率で起こるとは考えにくいです。

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次なる事業の見通し

となると、期待したいのが和洋装以外の事業です。

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建物賃貸事業はとんでもないROSで、経営陣も涎を流していそうですが、本業ではないため一旦置いておきます。

ここではROSは伸び悩むも、順調に売上が増加しているホーム・ファニシング事業に注目したいと思います。

 

ホーム・ファニシング事業

ホーム・ファニシング事業は、ラルフローレンホーム超有名ブランドである米ラルフローレンの寝具やインテリア雑貨等を取り扱うブランドの展開になります。
(日本でのライセンス契約だと想定されます。)

 

当然この領域にはニトリやイケア等の強者が君臨していますが、彼らとは共存可能だと考えています。

 

日本人は超が付くほどブランドが大好きな民族です。

ファッションにおいて「ベースはユニクロだけど、アウターはブランド物」という形で両者が共存しているように、インテリアにおいても「ベースはニトリだけど」という形で、同様の共存体制が構築されている様です。

実際に、ファッションブランド傘下のインテリア雑貨の先駆けであるZARA HOMEは順調に売上を伸ばしています

 

ZARA HOMEの詳細は以下のリンクをご参照下さい。

注目の「ZARA HOME」がついに上陸! (2ページ目):日経ビジネスオンライン

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ZARAの成長を考えると、日本においてプレゼンスのあるラルフローレンブランドの成長ポテンシャルは十分にあると想定されます。

前述の和装業界の再編シナリオよりも、ラルフローレンホーム事業の成長の方が期待できると考えています。

 

目標株価

最後に簡易的ではありますが、目標株価(ターゲットはFY19)について書いておきます。

現在の一株当たり純利益が5.0円、株価が129円(2017/3/28時点)、PERが25.7倍

 

利益成長率とPERの感応度分析結果が下記になります。

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利益成長率は、

ポジティブケース
ZARA HOME売上高成長率に和装市場規模減少率を差し引いた値(20.4% - 12.1%)

ベースケース
ゼロ成長

ネガティブケース
和装市場規模減少率(ラルフローレンホーム事業が育たなかった場合)の3ケース

 

PERは現在値を最大とし、東証1部平均値である16.9倍、それらの平均値である21.3倍の3ケース

 

最大ケースだと164円という試算になりました。

最大ケースはあくまでラルフローレンホーム事業を育てることができた場合です。

IRで具体的な方策が示されていない中で、あくまで僕自身が妄想した施策です。

仮に、会社側が次の打ち手を決めあぐねているようであれば、当然より悪いケースを想定する必要があります。

 

僕自身はツカモトコーポレーションを恋愛対象ならぬ、投資対象として見れませんが、もし気になった方がいましたら、是非IRに直接今後の具体的な戦略について問い合わせることをお勧めします。