さて、前回の続きです。
(前回行いましたコメダホールディングスの分析はこちらになります)
のれんの意味合い
前回の分析で、コメダに異常なのれんがあることが分かりました。
異常なのれんがあるということは、それだけ減損リスクが共存しています。
コメダはのれん>純資産なので、一括減損となれば債務超過になります
コメダの場合はIFRSという会計基準を採用しているため、価値が著しく損なわれた場合のみ減損処理を行うことになっています。
例えば、100円の価値があると思われていたのれんが、実は10円の価値しかなかったとなれば、発覚した時点で90円分を利益から差し引く必要があります。(IFRSの場合)
「酒、タバコ、ギャンブル、東芝に溺れてはいけない」でお馴染みの東芝も、のれんで1兆円の大赤字を計上しました。
普通に事業をして赤字を出せと言われても、1兆円出すのは至難の業です。
過去に買った会社が「実はそんなに価値がなかった」ということで、その差額分を利益から差し引く必要があったのです。
言ってしまえば、株式投資で1兆円すったみたいなものですね。勇気付けられます。
さて、ここで疑問に思うのは「資産価値が落ちて債務超過になっても現金は1円も動かないし、経営に影響なのでは?」ということです。
その通りで、債務超過になっても明日の仕事に何の影響もありません。
結局、倒産するかどうかは資金繰りがちゃんと回っているかどうかです。
そこで出てくるのが銀行です。
普通の会社は銀行から借金をしています。
雨が降れば傘を取り上げると言われる銀行です。債務超過という嵐になれば、殴りかかってでも資金を取り上げるでしょう。
その結果、資金がショートして倒産するということが起こり得るのです。
又、債務超過が1年以内に解消できなければ上場廃止となります。
つまり、異常なのれんがあることで倒産リスクや上場廃止リスクを孕んでいるということです。
ここまで、ファンドが絡んだことでコメダが抱えることになったリスクについて見てきました。
ここからもう少し事業目線で見ていきたいと思います。
戦略志向
前回はファンドについてかなり否定的に書きましたが、ファンドが入ることで事業自体は良くなることが多いです。(飽く迄僕自身の感覚的の話ですが・・・)
実際に、競合の上場企業(銀座ルノアール、ドトール・日レスホールディングス等)は各施策によってどんな効果があるのかイマイチよく分からない一方、コメダの施策は明確で分かり易いです。
既存エリアに加えて、新規エリア(国内外)を拡大しながらも、既存店での各種売上拡大施策(新商品やキャンペーン)を打っていく、と。
競合は「ブランドの再構築」等と、耳触りだけが良い謎の施策を掲げていますからね・・・。
繰り返しになりますが、のれんは価値が著しく損なわれた場合のみ減損処理を行います。
つまり、現状通り順調に利益をあげていれば、減損処理を行う必要はありません。
そこで、次回はコメダの競争優位性について分析すると共に、目標株価について見ていきたいと思います。